「受付の人があなたにひとめぼれするかもしれない」
――展覧会の入口に書かれたその一文で、私はすでにやられていた。
笑うしかないでしょ。こんなの。

CREATIVE MUSEUM TOKYOで開催中(2025年3月20日(木・祝)~6月3日(火))の
『かもしれない展』に足を踏み入れた私は、まず「人、多っ!」と心の中でつぶやいた。
でもよく見ると、みんなが何かにニヤニヤしている。
ヨシタケシンスケさんの空気感だろうなあ。
A4サイズの原稿(ジップロックにいれてある)を
A0サイズくらいに拡大している。
圧巻の“7500枚メモ”
「7500枚のメモ」と聞いて、正直「メモってそんなに見て面白いか?」と思っていた自分を反省した。
文字と絵がこんなにも人の脳みそを揺らすとは。
内容はたいてい、どうでもよくて、でもすごく大事で、なんならちょっと刺さる。
でも上の方は見えないけどね。
ご本人の制作スタイルがまたエモい
ヨシタケさんは「色はデザイナーさんまかせ」「絵はすごく小さいサイズで描く」タイプらしい。
展示には自分で塗ってみたけど「自分で色をつけなくて本当によかった…」って諦めた様子のメモもあり、もはや親近感しかない。
あれだけの才能を持った人でも、「できないことは人に任せていい」と堂々と発信しているの、ちょっと救われた。
撮影コーナー、地獄と天国、そして“けっこうもれたろう”
展示には、『つまんないつまんない』から顔ハメパネルや、
『このあとどうしちゃおう』から、
地獄のトゲトゲイス(お尻にダメージ)、
天国のふかふかみち(テンションあがる)があった。
A4くらいの小さなメモをすごく大きく引き伸ばして展示されているコーナー。
それをなんとなく眺めていた。
『おしっこちょっぴりもれたろう』のメモに描かれていた「けっこうもれたろう」。
あまりにも良すぎて、ニヤついた。
それと見つけた、
「暗い未来しか口にしない大人の言うことをいかに信じないか。その方法。」は
名言だな……。
ヒミツのシュレッダー
「自分のヒミツを紙に書いて、粉々にして空中にまき散らそう!」という謎の装置。
最初は「え、なにこれ?」と思ったけど、実際にやってみると……
なんか、ちょっと泣きそうになった。
誰にも言えないことを、こっそり宇宙にばらまいて、「はい、これでもうオッケー」って言ってもらった気がした。
何を書いたかは、ヒミツです。
あとは、『あつかったらぬげばいい』から? 吊り革や足の裏を地面から離すイスなどがあったよ。
展示の最後に待っていた一言
「いつかあなたもここで展覧会をするかもしれない」
――不意打ちで胸にくるんだ、こういうの。
帰り道、
「私もいつか、ここで油絵を展示したい」と、
ちょっとだけ、思った。